歩く事さえままならない中で、どうしてここまで走れたのか自分でも不思議なぐらいだ。 俺はいま一人、あってはならない敗北を迎えようとしていた。 体が熱い。 苦しい。 恐怖感が俺の体を蝕(むしば)む。 汗が傷口を刺激するせいで痙攣するようにあちこち痛かった。 会場の歓声は凄まじいほどのボリューム。 生と死の間で様々な記憶が蘇る……