箱はすぐ目の前にあった。 目の前にあるのに…… 俺は必死で手を伸ばす。 地面にはいつくばり、左腕で踏ん張って、右手を伸ばした。 (もう少し、あともう少しで届く!) 俺は力のない叫び声を上げる。 …………………… 「お客様、こちらの指輪でございますね?」 「はいっ!」 「かしこまりました。 少々お待ち下さいませ」 「はい」 ゆび…わ。 お前に渡したかったなぁ… 悔し涙が溢れてくる。 ………俺の手は指輪に届いたのだろうか………