待ち合わせ時間。 誰かが俺の名を呼ぶ。 俺は振り返りながら言った。 「ちーっす!」 そう、いかにも長い時間待ってましたみたいな余裕な笑みの中で、内心疲れが酷く体はバテていた。 畑からかなりのスピードで走ったのが原因だった。 俺がちょうど中間地点に着いた頃、友達たちの声が聞こえてきたのに焦り、わずかな時間を必死で乗り越えたんだ。 オルミ山と自分の家が繋がっている事をこれまで誰にも教えなかった。 誰にも教えないことで、ファンタジックなものを感じていたからだ。