「実波、ちょっといい?」

アタシは、梓と話した翌日、
実波の教室まで行った。

「なんですか?」

人気のない非常階段まで来ると
それまで黙っていた実波が口を開いた。

「章平くんと別れた」

アタシが言うと実波は、

「そうですか」

と小さな声で言った。