温かなぬくもりの中、 私は夢を見ていた。 私と年頃も近い少女が 朝日の昇る山々に向かって、 必死に、祈っていた。 彼女が何を祈っているのかはわからない。 けれど 彼女の瞳は、頬は、固く握りしめた掌は、 静かに流れ出た雫で、濡れていた。 『どうして、泣いているの』 『なにを祈っているの』 ―…私の問いは、彼女に届かなかった。