-コツンー 指に当たる冷たく小さなそれ。 美優はそれを掴み、ゆっくりと机から出した。 そして、それを手のひらに乗せる。 美優はそれをもう一度確かめて、胸の前で握りしめた。 「美優?」 みことの声に美優は顔を上げた。 その頬には涙が伝う。 「ごめん。あたし、行かなきゃ」 それだけ言うと、美優は教室を飛び出した。 向かう場所はたったひとつ――。