「美優、ここにいなって」 立ち上がる美優の手をみことが掴んだ。 「だって、きっと待ってるよ」 みことは大きくため息を付いた。 いつもなら図書室にいる時間に美優はまだ教室にいた。 「遊ばれてんのが分かんない?」 みことの言葉に美優は少し間を置いて、微笑んだ。 「それでも、いい」 美優はみことの手を振りきって教室を飛び出す。 「美優!」 みことの声を背中で受けながら美優は廊下を走っていった。