町田は溜息をついた。 「…俺も、昔みたことがあるよ。 ――“無”になったスレイヤーを」 まるで、懐かしいものを眺めるような目。 今の町田の瞳はそう見えた。 「…何も残らなかった。 スレイヤーの名簿、生まれ変わった者の名簿、死んだ人間の名簿…。 全て調べた。 ――なのに、どこにも名前がなかった。 …それは『魂』がこの世界から消えたからだよ。…俺たちの世界からもな」