――そろそろ雨が多くなりだしてきた頃。




じめじめとした、嫌な暑さが教室全体を包み込む。



「あちーな、今日は特にっ」



暑いのをふっとばすかのように、翔太が叫ぶ。

…昼食時、教室にいるのは少数で、大半がクーラーの効いた食堂にいる。



「ホントだよね~。湿気が多い、っていうかさ」


幸也も弁当の中身をつつきながら、手で扇ぐ。



「…お前らまでここにいる必要はないんだけど?」



本音をいえば――『早く食堂行ってくれっ』。