三神は、ゆるゆると首を横に振った。
「…私は、スレイヤーという…例えれば、死神のようなものです。
実際、もうこの姿で何十年も生きていますし…。
人ではないのです。
私は『幸せ』を刈ることが目的なので、命はとれませんが、
――私は、あなたから『幸せ』を刈りました」
「えぇ……?」
『幸せ』を…刈られた?
でも、俺の体はなんともないし、気分も悪くない。
…むしろ、三神とこんだけたくさん会話できて嬉しいくらいだ。
「…いえ、違いますね。
正確には…刈った筈でした」
「え?…それじゃあ、俺からなんも刈れてないってこと?」
「ええ。結果、何もしていないということ。
…ただ、あなたが私の鎌に驚いて失神していただけです」
……いや、それはそれで恰好悪いから嫌なんだけど。
