自分の名前、年、容姿、家族、友達……。 全部、分からない……。 心を読んだように、町田が言う。 「…当たり前だよ。 スレイヤーはね、変に感情移入しないように記憶は消しとくんだ。 ま、何となく、感覚とかぼやっ、としたことは覚えてるかもだけどね」 「え……」 「とにかく」 町田は何をするのか、自分は何者か、そしてこれからの生活のことだけを言って、去っていった。