そして美貴は、怒りの矛先を西谷くんに向けた。 「なに…それ… 会うたび毎回毎回、“和穏が”“和穏は”とかって話される美貴の気持ちなんて知らないくせに!」 「んなコト知ってるわけねぇーだろ。俺はお前じゃねぇんだし」 「……」 今までの勢いはどこへやら。 急に美貴が黙った。 そして美貴は無言でわたしに近づき、そっと右手を掴んだ。 …気づいたときにはもう手遅れで。