私がバトンを渡す相手は、同じクラスの松山泰司(マツヤマタイシ)くん。



松山くんはクラスでも結構目立つほうで、女子に人気がありそうな爽やかタイプ。



「よろしくな」



松山くんは、私にニコッと微笑んだ。



女子だったら一発で心を奪われそうな笑顔。



でも私は…



本気で佳祐の笑顔のほうがいいと思った。



「松山くん、50m走何秒だった?」



「6.5秒!大橋さんは?」



「7秒ジャスト!松山くん速いんだねっ」



「…女子で7秒ジャストって…すごすぎだろ…」



松山くんは呆気にとられている。