「…え、嘘?」



「嘘じゃない!」



そう怒鳴って振り向いた帝の目からは、大粒の涙が溢れ出していた。



「み、帝…?」




「俺…嫌だ。菜摘と離れたくない…。菜摘が好きなんだよ!」



世界が止まったように感じた。



私が好き…?



どうして……?



このときは、恋がどういうものなのかよくわからなかったから、軽く返してしまった。



「え、私……帝のこと好きじゃないよ」



それを聞いた帝は、目を見開きながら私を見た。