「それにしても丁寧なお嬢さんじゃのぅ。それに双葉ちゃん以外に女の子が家に来るのも珍しい。八束、コレか?」
ピッとシワの刻まれた親指を立てるお祖父さん。
…あれ…親指?
「お祖父さん言いたい事は分かるけど、そこは小指を立てるところだからね。
とりあえずどらやき食べてきたら?早く食べないとまた伊月さんに食べられるよ。」
通常通りの爽やかスマイルを浮かべて忠告した刹那、「あら、ニコニコ堂のどらやきじゃなーい!あたし好きなのよね、ここのどらやき。あさかちゃん、どうもありがとう。
遠慮なく頂くわ!ゆっくりしていってね。」
と、いつの間に部屋に入って来たのか、先程お祖父さんに差し出したはずの紙袋を抱えた伊月先生が満面の笑みを浮かべて立っていました。



