濡れた体温ごと奪って



家に入ると、珍しくお母さんが私より先に帰っていた。




「ただいま。今日は早かったんだね」


「おかえりなさい。ええ。ねぇ紗耶」


「ん?なに?」


「紗耶に会わせたい人がいるんだけど…会って…くれないかしら…」




お母さんは言いにくそうに言葉一つ一つを丁寧に発してる。


私に会わせたい人はお母さんの彼氏だって事…話し方からしてすぐにわかった。