濡れた体温ごと奪って



「し、翔ちゃんっ!!」


「…あ、ああ」




紗耶に名前を呼ばれはっと我に返ると、紗耶が指差した先はピアスが落ちていた。


どう見ても虫じゃねぇだろが。




「…これか」


「いやあぁぁぁっ!!」




ピアスを拾うとわざと紗耶の目の前に持って行く。


予想通りいい反応が返って来た事に若干満足してる俺って性格悪いな。




「…ぷっ…くくっ。虫じゃねぇよ。これは俺のピアスだ」


「へっ?!な、なぁーんだ…驚かさないでよー…翔ちゃんの馬鹿」




紗耶は膨れっ面で俺の背中を押し洗面所から追い出された。