「--壽吏」
一時経ったあと、紫波は私をゆっくりと離し、私の肩に両手を置いたまま互いの顔を見合わせる形となる。
「壽吏、聞いてほしいことがあるんだ」
そう言った紫波の目は、今までにない真剣なものだ。
だけど、不思議と緊張とかドキドキとかの類の感情は無かった。
落ち着いて、紫波の話を聞ける。
「前にも言ったかもしれないけど、俺初めてお前を見た時すっごい苛々したわけ。
なのに何かと一緒になる事が多くて、ほんと最悪だった。罰当たりだけど、神様くたばれってまで思った。いや、むしろお前を攻略して自分に勝とうと思った。
だけど、お前にも何か深いモノがありそうで、ほっとくことが出来なかった。
斎藤さんを好きになったきっかけも、実はお前だったんだ。
斎藤さんを凄く大事にしてただろ?だからどういう人かなと思ってたら、どんどん惹かれていったんだ。…斎藤さんもお前の事凄く大事に思ってたよ。
…で、お前に協力を願って、見事告白する前に失恋する結果となったんだけど、
…ぶっちゃけそっちよりもお前にシカトされる方がキツかった。
そこでやっと気付くことが出来たんだ」


