―――――え……?
不意に届いた自分を呼ぶ声。
その声を辿る為に俯いてた顔を上げる。
「―――新井さん……」
入口のドアに片方の手を置き、もう片方を膝について息を荒げている。
何で……?
息を整えた後、顔を上げ俺の目をしっかりと捕えてくる。
「ごめん!どうしても言いたいことがあって!」
これ以上何を伝えるというのか。
できることならもう何も聞きたくない。
「わがまま!私からの一つだけのわがまま!」
人差し指を立て、そしてゆっくりと両手を後ろに組み顔を前に出す。
俺の後ろの窓から入ってくるオレンジ色の光が、まるで舞台の主役にスポットライトを照らすかのように、彼女を一際輝かせる。
そして、今までにない笑顔を俺に向けてくれる。
「壽吏って、名前で呼んで!
これからは、壽吏って呼んでね!
翼君!! 」


