「母は秘書という形でその会社に、父に、自分の一生涯を捧げる覚悟をしました。
そして、私が生まれた。」
私は特異な家の元で誕生した。
誰もが私の誕生を歓喜し、何よりも喜んでくれたのは両親だった。
「私達は自分たちを特別だと思わない、みんなと一緒の普通の幸せな一家庭だったんだ。
だけど、やっぱり世間からは期待の声ばかりが挙がっていく。
あの2人の血を受け継いでいるこの子は、どんな未知数な可能性を秘めているのだろう。
この子はこれから先、世界を担っていくに違いない。
今の内に、この子に媚びておこう。」
中条は、私の代わりに苦しそうな表情を浮かべてくれる。
だから私も他人事のように話すことが出来る。
「私の行動一つで、両親にまで影響を与えてしまうの。
ませたガキだったのね。
子供ながらに全てを理解してたわ。
だから私は両親に迷惑をかけないようひたすら努力した。
友達もいらなかった。
どうせその友達の親も、私の事を"あの人達の子供"として扱うでしょ?
でもね、私がいくら努力したって、それは"あの2人の子供"だから当たり前。
次は、それ以上の事をやってのけてくれるだろう。
こんな所で収まるはずがない。
確かに生まれながら才能はあった。
人よりも少しは優れていたと自覚もしていた。
だけど、それにも劣らないぐらい私は努力をしたの。」


