「-…思い出すね、去年の春を」


「……そだね」



-入学式-


私たちの物語が始まった日。





「覚えてるかな?自己紹介があったんだけど」


「うん、覚えてるよ」


確か偶然紫波と隣同士で、足踏まれて、…そういや中条ってどこの席にいたっけ?

んー…、苛々してたのと、あと早く終わって欲しくて全然他の人の自己紹介聞いてなかった記憶が…。





「俺は、そこで初めて新井さんを知ったんだ」


中条は懐かしむような表情をし、どこか他の一点を眺めている。



「びっくりしたよ。なんか、衝撃が走ったような感じ」


「………」


何に?


とか聞いちゃいけない雰囲気なんだろうなぁ…。



「新井さんのが始まった瞬間、教室内がざわつき始めただろ?それくらい凄かったんだよ、」


「…名前が?」


確かに名前を言った瞬間にみんなコソコソしてたけど…。



失礼だな…。
それくらい自覚してるって…。