「名前で呼ぶなって言ってんでしょ…」
そう、こいつは名前を知った初日から私を名前で呼びだした。
他のみんなは『新井』やら『あらっち』やら『あーちゃん』やら『じゅじゅりん』やら豊富なバリエーションを発揮してくれているのに、こいつだけはそのまま呼んでくる。
「何でいつもソレ言うの?別に良いじゃん。言い名前だし」
「……とにかく嫌なの!」
「なんなら俺のことも名前で呼べばいいのに」
………まただ。
なんか知んないけど、最近こいつの言動一つにどきどきしてしまう。
この発作はどうやら顔にも出るようで、
「どうした?顔赤いぞ」
「うっさいアホ!馬鹿紫波!お前なんてちび助で十分だこのやろう!」
「なにおうーー!!」
まあ最終的にはいつも喧嘩になるわけで。
「大体お前毎回俺の事チビチビ言うけどなー!ぶっちゃけお前とそんな変わらんだろ!」
「だからチビって言ってんのよ。何女と競ってんの?ていうかぶっちゃけ私の方が高いし」
「そんなの測ってみねーと分かんねえだろ!ブス!」
カチン
ああ、今来ました。
私の心に封印していた何かが解き放たれそうです。
ってぐらいカチンと来ました。
……いいでしょう。
やってやるぜ。
「じゃあ勝負する?」
「あ?」
「私とあんたどっちがでかいか」
私がそう問いかけると、紫波は見事に乗ってきた。
「いいぜ」
「負けた方は1日奴隷」
「やってやろうじゃん!」
もうこいつは一度ボコボコにしていた方が良さそうです。
「あんたが私を馬鹿にしたこと後悔させてやるんだから!!」