パチパチと他人行儀な拍手が教室に鳴り響く。



……終わったー。



私は安堵の息をもらす。



すると、左側から手が伸びてきて私を呼ぶように机を叩いてきた。



「……何ですか」



見ると、あいつが燦々とした目でこちらを覗き込んでいる。



「じは?」


「は?」


「どうやって書くの?」



………ああ、字の事ね。



「はい」


私はそいつに名前が書いてあるプリントを見せた。




「………」




…何その沈黙。


どうせ変な漢字とか思ってるんでしょ……


「…ちょっと、もうい…「かっきー……」



ん?



「カッコイイな!この名前」



……



な!



「そっ、そんな事ないわよ!みんなから笑われるだけなんだから!」

「そっか?」



もう一度プリントの方を見て、首を傾げている。



その時の私はというと、顔をりんごのように真っ赤にさせていた。




……――嬉しい。



名前を褒められたのは、生まれてこのかた2回目だ。


因みに1回目は真那加だ。



あの時も嬉しかったけど、今回はなんかちょっと違う嬉しさというか……。



何!?この胸の高まりは!!

こいつの笑顔が輝いて見える…!



これって……



もしかして……



こ…「でも確かに名前負けしてるよな!」




………



うん。



ダン!
「痛っ!」



おっと、余りのむかつきに足を思いっ切り踏んでしまった。



やっぱさっきの訂正。



有り得ない。



ていうかこいつ相手にそんな感情を抱いていた自分が腹立たしい。



大体私のタイプは長身で大人っぽくて、誰にでも優しいこいつとは真逆な存在だ。



苛立たしいことこの上ない。