・・・ドクンッ

・・・・・・“泣かせちゃ駄目”だ。



いつの間にか、俺の頭には

この言葉でいっぱいになった。


一人の女の子を

こんなに思うのは初めてだ。



もしかして、好き―――?



・・・まさかな。

俺に限ってそんな事ある訳がない。



どうにかしてこの子と別れたいと

思ったけど『別れたい』と言った瞬間、

泣くんじゃないか、って

思って言えなくなる。



だから俺は選んだ。



“嫌いになってもらおう”



わざと彼女に酷い事を言って、

わざと他の女とキスをすれば


瑞穂から別れを切り出してくれるんじゃないかって。