その日の音楽は亮太のことばかり見ていた。 音楽の授業が終わり、一番に出ていこうとする彼を追いかけた。 「亮太っ」 私は亮太に聞こえるほどの声で呼んだ。 亮太はその場に止まり、振り向いた。 そして呼んだのが私だと分かると優しいいつもの笑顔で私の方にゆっくり歩いてきた。 「亮太っ、」 何を聞けば言いか分からない。 亮太の名前を呼んだあと私の言葉を遮り言った。