そしてその人がすれ違い様に 「また出掛けるのか…。暇人は羨ましいよ…」 びっくりしてその人を見た。 背は龍也さんと同じ位で、縁が細い黒縁眼鏡をしている。 髪は黒で、いかにもインテリ。 そして眼鏡の奥の瞳がどこか冷たい。 龍也さんの、お兄さん…? 少ししか見えなかったが、多分そうだ。 でも龍也さんは、言われた言葉なんて気にしないで、すたすたと歩いていた。