いつものように奥のスタジオ、好き勝手に鳴らし始めようとする一平のステッキを握りしめてさえぎると、皆を見渡しながら、ポケットからそれを出す。
『新曲つくってみたんだけど、聞いてみてよ』
ふと、舞い降りた曲を一夜にして音にする。
主旋律だけを辿ったデモテープを聞いてもらおうと思ったから。
手を差し出してきた井之村くんにそれを渡す。
『って高田サン?中身入ってませんけど』
ひきつるように、そしてわざとさしく丁寧にあたしへと話しかける井之村くんのその言葉に絶叫する。
『げっ、あちゃーきっとパソコンの中だ。ちょっと取りに帰る』
調子よく、差し出したのはいいものの。肝心の中身がないとは恥ずかしすぎる。素早くケースを井之村くんの手からひったくると制服のスカートを翻して、防音されたスタジオを飛び出した。
今日じゃなくてもいいだろー、と拗ねた一平の声が追いかけてきたのは気づいていた。
けれど、今日じゃなきゃだめだった。
『たぶん、絶対気に入るって』
閉まる寸前のドアの隙間へあたしの声は届いただろうか。
一刻も早くと、足は動く。
『新曲つくってみたんだけど、聞いてみてよ』
ふと、舞い降りた曲を一夜にして音にする。
主旋律だけを辿ったデモテープを聞いてもらおうと思ったから。
手を差し出してきた井之村くんにそれを渡す。
『って高田サン?中身入ってませんけど』
ひきつるように、そしてわざとさしく丁寧にあたしへと話しかける井之村くんのその言葉に絶叫する。
『げっ、あちゃーきっとパソコンの中だ。ちょっと取りに帰る』
調子よく、差し出したのはいいものの。肝心の中身がないとは恥ずかしすぎる。素早くケースを井之村くんの手からひったくると制服のスカートを翻して、防音されたスタジオを飛び出した。
今日じゃなくてもいいだろー、と拗ねた一平の声が追いかけてきたのは気づいていた。
けれど、今日じゃなきゃだめだった。
『たぶん、絶対気に入るって』
閉まる寸前のドアの隙間へあたしの声は届いただろうか。
一刻も早くと、足は動く。

