ラヴレター(仮)

「情けない話、ハマった、俺の負けーって感じ?」

肩を竦め、井之村くんは力無く笑った。

一生懸命何かを伝えたいと思って言葉を紡いでいるはずなのに、なにを前言撤回したいのかあたしにはわからない。あたしがわからないくらいだし一平もわからないはず、と横に立つ幼なじみの顔を見上げた。

けれどそこには当然、と言わんばかりのしたり顔があった。

「一平?」

名前を呼ぶ、けれどそれには応えず彼は心底嬉しそうに笑った。

「どーもしない、4人でやろうぜ!」

陽が暮れた。
電灯の光が辺りを照らすけれどあまりにも頼りないその光のなか一平は井之村くんにじゃれつくように飛び掛かる。

「4人で音鳴らすだけでも俺はいーし、楽しーじゃん。なぁ坂上は?」

その声に釣られるような坂上くんに目を移す。

「坂上くんって、笑ったら……」

自然と笑みが零れていたんだろう。坂上くんはあたしの声に慌てて掌で口元を隠し回れ右をして先へと進む。

風があたしの制服を巻き上げる。
背後から助走をつけた2人に飛び掛けられ、もみくちゃにされる。笑い声が夜の闇にこだました。