―-――等身大の俺

宛名しか書かれていない封筒に入っていたのは1枚の写真。裏をめくれば走り書きが見える。それ以外になにも書かれていない手紙と言うにはおこがましいメッセージ付きの写真に小さく笑う。

「一平らし」

こんな適当なことをするのはあたしの周囲には一人しかいない。
写真には一面雪景色。かろうじて人型にへこんだのが伺える。きっと、まっさらな雪に倒れこんで、その人型を写真を撮ったんだろう。
人型以外になにもあとが残っていないところを見るとバカみたいに真剣に取り組んだに違いない。

「何やってんだか」

前回送られてきた写真は奇跡の1枚だった。
UFOキャッチャーにきれいに捕まえられたクマのぬいぐるみ。宙に浮かぶそのシーン。
すごい、と思ったのは一瞬。どうせ、何回もチャレンジして撮ったのだろうと思い直した。実際に万使ったとは思わなかったけれど。
テレビの横でちゃっかり陣取っているクマのぬいぐるみを見て思う。

どうでもいいことに全力を尽くして幼なじみのわたしたちに迷惑をかける。
一平はそんな男だ。