「お礼なんか言われる筋合いないです。」
「……………?」
どういうこと?
「昨日…すいませんでした。」
昨日?
……………………
……………
―………あ…
キス!!!!!!
やば。
忘れてた!
「おれ、先輩にあんなことして…」
郁弥君は、眉を寄せて言った。
「あ…と、
あの、あれはっびっくりしたけど
気にしてないし…」
精一杯謝ってくれてる郁弥君が
罪悪感をこれ以上感じないように言った。
「―――………それは、それで…
傷つきますね。」
え?じゃあ、どう言えば…
「でも、最低でも、嫌いに
ならんといてくださいね。」
………?
意味ありげな顔。
「嫌いになんかなるはずないで!!」
嫌いになるとかありえへんし、
むしろ、スキかもしらんねんから。
「よかった。」
にしても
傷つくってなんで?
気にしてないしって言ったほうがいいんちゃうん?
ホンマは気にしまくって、思い出すと
また、唇が熱を帯びたようになる。
