「っ…」
郁弥君は顔を真っ赤にして、
下を向いている。
一方あたしは、左右を郁弥君の腕で塞がれて
身動きが取られへん状態。
2人の間には長い沈黙が流れた。
どうしよ…!?
心のなかであたふたしていると
郁弥君が口を開いた。
「おれも…、男なんですよ。
ガマンにも限界があるんやけど…」
「…?ガマン…??」
なんをガマンしてるかわからんけど、
とにかく、早く上着を着たいんですけど…
そして、郁弥君から信じられない言葉が発せられた。
「先輩、キスしていい…?」
「………………えっ?」
「……………キスしていい?」
「そんなこと、アカン…んっ!!」
うそ…
あたし、キスされてる?
優しく触れるキス
「いく…ふっ…」
唇が離れて、
言葉を発しようとするけど
また、キスされる。
意識が、次第に遠退くように
感じた――――…
