―………。
ホンマに?
「鍵、貸してください。」
「いや…あの」
「早く」
怒っているような口調で言うから
あたしは、郁弥君に家の鍵を渡した。
ガチャ
「おじゃまします。」
あたしは、ソファに座り込んだ。
「あの、郁弥君ホンマにいけるから…」
「……………絢音先輩、おれが嫌いなんですか?」
「そんなわけじゃないねん。
だって、郁弥君に悪いやん。
電車とか反対方向やし、家帰るの遅くなるし。
ここまで送ってくれただけで十分やねん。」
「……………」
「そやから、ホンマはお母さんがここに
帰ってくるまで、送ってくれるのも
悪いと思ってる。」
「おれは、迷惑なんて思ってないです。
おれが、したくてしてることなんです。」
郁弥君が優しく微笑んだ。
「だから、絢音先輩が寝るときまで
今日はおらせてもらいます。」
「寝るとき!?」
「絢音先輩が布団に入るまでです。」
そりゃ、わかってますけどやな…
「じゃあ、冷蔵庫勝手に開けますね。」
「あ…」
今日の郁弥君はちょっと強引でびっくりした。
