「じゃあ、もう切るで。」
プツッ
電話を切ったあと、ふと横を見ると、
郁弥君は、会話を聞かないようにしてくれていたみたいで
携帯にイヤホンをつけて音楽を聴いていた。
トントンとあたしは郁弥君の肩をたたいた。
「あ、すいません。」
「ううん。大丈夫です、ありがとう。」
「いえ。」
もうすぐで家につく。
学校から駅に行って、
電車に乗って、
駅から家まで歩く、
結構長そうやったけど
短く感じた。
「郁弥君、家ここです。
送ってくれてありがとう。」
「そうですか。短くてなんか残念やな。
あの…」
「なに?」
「絢音先輩のお母さんが、帰ってくるまで、
絢音先輩を家まで送ります。」
