「弥亜子〜!おつかれ〜」

「あ、うん、とっても緊張したよ〜」

………つかれる

いったいいつまで猫被り続けなければいかないのだろうか……

「弥亜子は頑張りすぎだよ〜、」

「そんなことないよ〜」

あたりまえだ、頑張ってんだよ

「可愛い〜!」

「そんなことないってば」

あたりまえだっての、お前よりも何倍も可愛いし
でもそれを言ったら明らかに変り者扱いされる……

だから猫を被り続ける



そうすればうまくいくと信じているから
うまく………いったから


校舎を歩いていると一人の男子生徒とぶつかった

「大丈夫?弥亜子?」

「いてて……」

素でいたい…

ぶつかった奴はそのままごめんの一言もいわず立ち去ろうとする

「ちょっと待ちなさいよ」

「あ?うるさい、先輩にたいして何その口調」

振り向きながら一言つぶやいて去っていった

「ご、ごめんなさい」

友人が小声で言う
よっぽど怖かったのだろう
でもなかなかの美形、かっこいいと言うよりも可愛い部類に入りそう、でも、それでいて声は低く
つまり私の好みだった


「………かっこいい」

「は?嘘でしょ?あんな感じの悪い人………」