向井のいる教室のドア前に立つ。 中の様子を伺った。 (また喋ってるじゃねーか。) 教室に足を踏み入れた瞬間に鈍い音がなる。 「私の健太を返してよ。」 泣きながら叫ぶ女の前に、頬を抑えながら笑う向井がいる。 「あーっはっはっ。おもしろい。」 向井は見下すように続けた。 「あんたに魅力がないだけ。だから捨てられるんだよ。」 冷笑だ。馬鹿にしすぎている。 「おい、待てよ。」 清香は間に入った。