昼休み。
教室のざわつきから逃れようと、校舎裏のベンチへ行く。
普段は誰もいないのに声が聞こえる。
(ん?だれ?)
恐る恐る覗くと男がいた。
「頼む、頼むよ。もう俺に関わらないでくれ。」
「…」
「俺には、………あっ、」
電話は一方的に切れたようだ。
「クッソ!」
男は叫ぶ。
そして携帯をまた耳に当てる。
「もしもし、晴乃?」
(は?晴乃?)
よく見ると松田だった。
「晴乃、俺は向井と何もない。」
どんなに耳をすましても晴乃の声はきこえない。
(しゃーない、帰るか。)
今日だけは教室でご飯を食べた。
