外がすっかり暗くなった頃、ようやく新しい家に到着した。

春樹は、着くまでの何時間か暇で仕方なく、眠る事にした。そのため、ようやく新しい家に着いたというのに何度呼びかけられても全く起きようとしない春樹。

「春樹、とっとと起きろ。いつまで寝てんだ?」

秋がこれで何回目になるかわからない呼びかけを春樹にした。

すると、やっと目を覚ました春樹は眠たそうに目を擦りながら背伸びをする。

「……ここが新しい家?」

「あぁ、そうだ。ほら、早くしねぇと鍵かけちまうぞ?」

「わっ、待ってよ!!」

秋は、車の鍵を閉めるとさっさと家へと入っていった。その後を、春樹が走って追い掛ける。

「何だ?入って来るのか……?」

「当たり前じゃん!」

ちゃっかり、玄関の鍵を閉めようとしていた秋は、走って入って来た春樹に驚いた様子で春樹をみつめた。

「おれもう、寝るから」

「あぁ……」

「布団は?」

春樹の問いに答える事なく、秋は黙って部屋の端に積まれているダンボールを見詰めた。

ダンボールの数は、一つじゃなく十個くらいあり、どれもまだ手を付けていない運ばれて来たままの状態だった。

「……じゃぁ、着替え」

「………」

春樹は、質問を変えたが秋はダンボールの山を見詰めたまま黙っている。

「……どのダンボールに入ってるの?」

「………わからん」

「え………?なんで………」

「……………」

「どのダンボールに入ってるのか探そう?」

「…………」

黙ったまま、口を尖らせる秋はとても嫌そうに顔を歪ませた。春樹は、秋の服を引っ張った。

すると、秋はやれやれと嫌そうな顔のままダンボールの置かれている端へと歩いた。