師長の話が終わり師長がナースステーションを去ると、看護師たちは解放されたように口を開いた。


『ちょっとー椎名空人ってあの歌手のKuTOでしょう?今じゃバンド活動もしてて、時の人じゃない!!』



麗子は回転椅子に座りながら、満面の笑みを浮かべる。



『麗子さんが喜ぶ気持ちもわかりますよ!だってうちの病院にあのKuTOがいるなんて、信じられませんよー。
しかもうちの科だなんて。』



新人の麻美は麗子の顔色を伺いながら、チャームポイントの八重歯をのぞかせる。


そんな二人の会話を横目で見ながら、美雪は物思いにふけっていた。