幸せの条件

 次の日、いつもの直之に戻っていた。

昨日のことは夢だったのかもしれない。

忘れよう。

「・・・じゃ、お願いします。」

直之を見送り、家政婦に後を任せて私も家を出る。

昼前まではいつも通り。

なにを食べようかとランチのことを考えはじめた頃、電話が鳴った。

「いらっしゃるわよ!」

薫が受話器を置くと叫ぶ。

出迎えるためほぼ全員が各部屋を飛び出す音がする。

「すぐにお茶の用意して。」

薫が私にお盆を渡す。

「小百合さん、昼食は?」

「すでに手配済みですわ。」

「ご苦労様。・・・さくらさん?」

「すみません。」

私は、慌てて給湯室に走る。