瑞希が私に名刺を差し出した。

私は、左手の薬指に光る指輪を見ないふりをして受け取った。

名刺の裏には携帯電話の番号が書いてあった。

「さくらちゃんのも教えて。」

断る理由もないので手帳を出し、メモのページに書いて私は、瑞希に手渡した。

珍しくハイペースで呑み過ぎた私は、早々にバーを出た。

バーの前から瑞希が呼んでくれたタクシーで帰る。