幸せの条件

 「片瀬って会社じゃ、喜怒哀楽あんまり出さないだろ。あの、作っているっていうか・・・。」

私は、しどろもどろの孝太郎を見てクスクス笑う。

「私、会社で浮いてるのは分かってるわ。でも、友達・・・人間関係のつくり方が分からないの。」

私は、ふふっと笑った。

しかし、孝太郎は、笑わない。

「・・・民宿に戻ろう、こうちゃん。」

私は、孝太郎に背中を向けた。

やや下を見ながら歩き出した私の手首を孝太郎が掴む。

「片瀬、付き合ってくれないか?俺と。」