「さくら・・・。交代しましょう。」

病院の父の回診の様子を見ている私に姉が声を掛けてきた。

「お姉ちゃん、疲れてるでしょ?せっかくの休日なんだからゆっくりしてよね。」

私は、父から目を離さないまま静かに言った。

姉が近付いてきて私の隣に立つ。

「友馬さんは大丈夫?」

「記憶のこと?ないままだけどもういいの。今はね。私は諦めたわけじゃないわ。」

「さくららしい。」

姉がぎこちなく笑う。

「私はお姉ちゃんみたいになれないわ。女であることしか武器がないの。それに武装も軽くだから・・・。」

「さくらは心が強いじゃない。」

私は、横目で姉を見る。

「それってすごいこと。最期まで闘える。最強よ。」

「お姉ちゃん?」

「さあ、交代よ。リフレッシュしてきなさい。」

姉が私を病室から追い出した。