幸せの条件

 仕事にならない夏子のたまっていく仕事を何故か私が片付けることになり、だんだん私もイライラしていった。

定時であがることが出来たのが救いだ。

ロッカールームで着替え、暫しロッカールームの奥にあるパイプ椅子に座った。

私は、煙草を吸えないのでチョコレートを食べる。

「あの・・・。」

突然、声を掛けられた。

通れないのかと思って私は、立ち上がり、パイプ椅子を畳む。

壁に体をつけて道を作る。

なかなか通らないので私は、相手の顔をジッと見た。

「あの・・・片瀬先輩、呑みにいきませんか?」

「は?」

私は、もう1度、顔を見る。

「貴方、誰?私は知らないんだけど。」

名前がまったく出てこない。

一瞬、相手の顔が引きつったのを私は、見逃さなかった。

「桜木凜です。隣の部署です。」

隣といっても同じ部屋で役に立たない衝立てにて仕切られてるだけなので見たことはあるかもしれない。

でも、覚えてない。

「・・・どうして私なの?」