「……相変わらず、兄上様は花や草木に興味を示さないのですね」


今度は美しい女性のほうが、兄を見て淡々とそう言った。



兄はくくっと口角を上げて笑い、目の前の桜の木に踏み寄った。


「わしは花など美しいとは思わない」



そう言い、兄はぐっと強引に桜の木の枝から花をちぎりとった。


ちぎりとった花を、手の中でぐしゃっと握り潰した。


はかなくて、綺麗なものをその手で握り潰していく。