「真面目な話。俺、結構考えたんだ」
「何を?携帯電話とボクっていう意義を?え、うけるー。ネタ!?」
「いやいや、陽菜、聞けって」
「えぇーー道徳?!なんか笑けるんですけ・・・」
アハハと笑い飛ばすつもりだった陽菜は思わず笑い声を飲み込む。
俺が意外と真剣な顔をしていたからかもしれない。
彼女歴の勘で分かったのだろう、“本気”なのだと。
「じゃあ真剣に喋り場してください」と、少しだけ皮肉を込めて言う陽菜。
皮肉にも綺麗だと思う。
黒色の中に色があることを教えてくれる月明かりの下、
ポケットから携帯電話を取り出すと、俺は話し始めた―――



