皇紀の顔を無言でニチカは見た。

「慶吾君?」

恵理奈を前に
茫然と突っ立ったままの慶吾は

「えっ?何?」

恵理奈の呼び掛けに鈍く反応し

「…慶吾お前なあ」

皇紀が素早く恵理奈を連れ出す。

「スタジオは俺が付き添うから、二人は楽屋待機な!」

「えっ?ちょっと俺も行く!」

後を追い掛け様とする慶吾に、
皇紀は指を突き指した。

「お前は頭冷やしてろ!」

慶吾は意味を察し前屈みになる。

「最低〜」

恵理奈は慶吾を睨み付けた。

「ちょっちょっと…」

慌てる慶吾の目前で

「じゃあな」

皇紀は楽屋の扉を閉めた。