肩の上下する動きに隠していても溜め息を吐いたのだ解った。

「メイク講座はもうしませんよ。今は‘S’の休憩時間に新人担当をしているだけです」

淡々と話すニチカの態度を気にも止めず流れる様に続ける。

「あら残念です需要が高いので、部数も大幅に伸びるんですよ!
…単にニチカさんファンって事もあるんでしょうけどね…」

内心の声をだだ漏れにしつつ
矢継ぎ早に尋ねた。

「新人と云えば最近売出し始めた大注目のグラビアモデルの話は、ご存知ですよね?」

先程からニチカの話していた業界のシンデレラストーリーだと、
恵理奈にも直ぐに気付いた。

「閉ざされた世界で仕事しているお蔭で下らない噂話は生憎耳には届きません」

ニチカが冷めた口調で答えた。