いつの間にか歩調が合ってることに恵理奈も気付く。

「未だ経験も実績もない無名が、鳴り物入りでデビューすることで同業他社も注目しているそうだ」

ニチカの話に恵理奈は頷くが、
実際はその意味までは理解してはいなかった。

「他のモデルとは一切絡むことのない‘S’のところにも話が届く程、業界はその話で持ちきりだ」

業界内でのシンデレラストーリーでも話始めたのだろうか?程度に相槌を打ちつつ。

「他のモデルさんからは嫉妬とかされてしまいそうですね?」

何気無い恵理奈の返しにニチカは軽く息を吐き。

「鋭いのか鈍いのか解らないな」

呟いた。