だけど気づかれなくても、この同じ空間にいるだけで居た堪れなくなって。


「マイ……あんた……」


ミサトに頭を引き寄せられた。

涙が見えない様に……。


「マイ、もうちょっと我慢して」

「……ッ」

「翔太くんたちが向こうに行ったら、すぐ帰ろう?」


ごめん。

ミサトは耳元で何度もあたしに謝った。


ミサトが悪いわけじゃない。

今まで気づかなかったあたしが悪いんだ。


今頃になって、翔太がいい男だって気づいても……遅い。


あんなに一緒にいたのに、どうして気づかなかったんだろう。


ただの幼なじみの境界線を越えたあの日。


今まで経験したことのないくらいの悦びと。


人肌があんなに気持ちのいいものだと教えてくれた温もり。


ドキドキと鳴り止まない胸の鼓動の意味を、あの日知ることができたなら……。


……こんな意味のない後悔をしたのは初めてだ。


恋が終わった時だって、あたしは今まで一度だって悔いたことはないし、

「この人は運命の相手じゃなかったんだ」

って、頭の切替は早かった。