そんな時。
「マスター!また来たよ〜」
背中から可愛い女の子の声がした。
マスターの知り合い?
マスターが嬉しそうに歩み寄る。
「那波ちゃん、もしかして例の彼?」
那波ちゃん……?
カクテルを持つ手が震えた。
「マイ?どうかした?」
ミサトが不思議そうにあたしを見る。
気づかないのかな……。
“那波”って名前の女の子には、そう度々出会えない。
「ふふッ。そうなの。マスターにどうしても見てほしくて連れて来ちゃった」
「……ねぇ、マイ?」
ごめん、ミサト。
今は後の会話に集中させて……。
あたしの予想が正しければ、たぶん今後にいる女の子は……
“宮本那波”
翔太の家から朝帰りした女の子。
本当に、翔太と付き合っているのかな……。

